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2月, 2018の投稿を表示しています

病院は医師500人だけがいれば成立するか?

先日、とあるツイートがバズったんですけど、

将来医師になりたいという中学生さん。
「何か質問ある?」と聞いたところ
「薬剤師さんや検査技師さんとか、そういった裏方と一緒に仕事をしていくことの重要性は」
と言われたので
「うん、いい質問だね。まず、薬剤師や技師さんは『裏方』じゃないというところが重要だね」
と答えた。 — 西智弘@VALU📬 (@tonishi0610) 2018年1月25日
2万リツイート、3万ファボ。通知が止まなくてビビりました…。
ところでこれなんでバズったのかなって。
リプライみていると理由はいくつかあって

①中学生、なめんなよというdisり
②「裏方」っていう言葉の解釈が変だぞ!という指摘
③「そうだそうだ!」「よくぞ言ってくれました」というメディカルスタッフの声

とかが多かったんですけど、
①についてはもう本当にそういう意図はなくて、バズり始めた時に早々にフォローしたんですけど

このツイートそこそこバズっているのですが、その中学生さんをdisるコメントも来ているので一言。
私も、医師になる前はそう思っていました。看護師や薬剤師の専門性なんて誰も教えてくれなかった。
だから「いい質問」と言ったのです。
本気で医師を目指すなら、それを知れたことは大きな収穫。 https://t.co/2odVZHEXdr — 西智弘@VALU📬 (@tonishi0610) 2018年1月25日

②については、薬剤師や技師は「裏方」だし「裏方」として誇りをもって働いているし、それを言ったら本当の意味で表に立っているのは患者さんだけで、医師もある意味裏方なんじゃない?という意見。
これは確かにそういう解釈で言えばそうなんだけど、私が言いたかったのは、薬剤師や技師さんも、患者さんに接してその専門性を生かして仕事をしているわけで、医師がトップで薬剤師・技師が医師を支える職業ってわけじゃないよね、って意味だったので。

で、③なんだけど、これが一番多い意見で、私はある意味衝撃を受けたんです。
そんなに多くのメディカルスタッフが医師から虐げられた(軽く扱われた)経験を持っているのかと。
医師の教育って本当にかなりヤバいなと。
先ほどのツイートにもあったように、医師って本当に「チーム医療」というか他の職種の専門性について学ぶ機会ってほとんどないんですよ。社会人なんだから、自…

Pt's Voice014:捨てなくていい、って言われたとき、すごく気持ちが楽になったんです

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私には娘がいるんです。
まだ小さくて、かわいくて・・・

でも自分はその子を遺していかなければならない
ほんとうにそれがつらくって・・・

そうそう、自宅の整理も始めているんです
でも、若い時から集めた大量のレコードは捨てないことにしましたよ

先生この前
「娘さんが、大きくなった時にそのレコードをお聞きになるかもしれませんよ」
とおっしゃったじゃないですか
あれを言われて、すごく楽になったんです

もう捨てないと・・・きちんとお別れしないと・・・
って考えるのがすごいプレッシャーで。
でも「捨てなくていい」って言われたら、すごく楽になりました

あのレコードは娘に遺していこうと思います
レコードを聴いて、私のことを思い出してくれるかもしれませんしね

**************************** Pt's Voice=ペイシェンツ・ボイスは「患者の声」をデジタルアーカイブとして遺すプロジェクトです。
有名人の言葉は時を超え、後世に語り継がれ、その言葉は死ぬことはありません。 一方で、その人生を懸命に生きたひとりひとりの言葉も、その言葉に負けることがない輝きを持っています。 それらの言葉の生を引き継いでいくために、記録を残していきたいと思います(毎週月曜日更新)。

Pt's Voiceでは私の解釈は一切記しません。 患者・家族と私との対話のみです。 その生の声から何を学ぶか?それは皆さん次第です。

デザイナー小林花が描く、身体のコンプレックスからフリーになるファッション

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暮らしの保健室で毎週第3水曜日に開催している勉強会「Small Labo」。
今回の講師は早稲田大学の小林花さんだったのだが、その内容が衝撃的過ぎた。

タイトルは『身体の多様性とファッション』

タイトルだけだと何のことかわからないだろう。
私もはじめは何のことかわからなかった。
しかし、そのプレゼンはこの世界の切り取り方を変えるものだった。

彼女のストーリーはこうだ。

旅行先の銭湯で、そこに来るお客さんたちの身体をずーっと見つめていたときに、人の身体カタチはよく見るとこんなにも違うのかと、とても驚いたのだそう。
一言で「太っている」と言っても、お腹周りを中心に肉がついている人もいれば、全体に肉がついているのだけど肩や足首のラインはすごくスッキリと見えるとか。
でも、既存の画一的な水着は、個々それぞれに違う身体の美しさを型にはめてしまう。
ビキニは元々、欧米人の豊かなバストと、丸みを帯びたヒップ、そしてその凹凸を強調するデザイン。東洋人はそもそも骨盤の形状が異なるので同じような美しさは出せないことが多い。
それにもかかわらず、私たちの常識はいつからか「(欧米型の)服に似合う身体こそが美しい」と思いこまされてしまっている。
本当はそうではないのに。



そこで彼女は水着やドレスなどのデザインを通して、
「個としての人間が自分に真にしっくりくるかたちで自分の身体を表現する手段を作ること」
と考えたのだそう。
どんな既存の服を着ても似合わない自分にがっかりして、コンプレックスを背負いながら生きる人生ではなくて、
自分を表現する服を着られれば、自分の体を愛せるようになり、これまでの常識からフリーになった生き方ができる。

そしてその先には、
「女はこう」「男はこう」といった性の/社会的役割の2色分割の世界観を自己や他者にあてはめる盲目をやめて、目の前の人間がその魅力や能力をストレートに発揮できる未来を描き、現実のカタチにする
ということを考えているのだそう。


例えば、バストが大きいことによって、水着を着るとその瞬間から「性の対象物」のように見られることが悩みだった女性へは、胸を完全に覆い、その代わりに身体の横を大きく開けたデザインの水着とすることで、その方の身体性の美しさを表現した。
生まれた時から男性性と女性性の両方を持っている方へは、身体の動きによって胸筋や腹筋を見せることで男…

Pt's Voice013:死んだら?空っぽだよ。何もない。

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死んだら?
空っぽ。
何もない。

過去にどう生きていたかって?
忘れた。

これからどう生きていきたいか?
今と同じなら何でもいいよ。

俺にとっては今が大切なんだ。
昔のこととか
これからのこととか
どうでもいい

ましてや、死んだ後のことなんか考えたこともないね

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有名人の言葉は時を超え、後世に語り継がれ、その言葉は死ぬことはありません。 一方で、その人生を懸命に生きたひとりひとりの言葉も、その言葉に負けることがない輝きを持っています。 それらの言葉の生を引き継いでいくために、記録を残していきたいと思います(毎週月曜日更新)。

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Pt's Voice012:レールに乗って死を待つのも人生、レールから外れてそれに抗うのも人生

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先生が勧める治療はわかる
それが一番「正しい」方法だって言うんだろ
世界的な研究に裏付けされているって

でも、それで治った患者がどれくらいいるんだい?
延命はできたとしても、「治らない」っていう未来が見えているんだろ

俺は、そうやってレールに乗せられて決まった未来に行くようなのは嫌だ

医者が「正しい」っていう方法に乗らなければ、未来はわからないってことだろ
俺はそっちのほうがいい

俺にとってはそっちのほうが「正しい」んだよ

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有名人の言葉は時を超え、後世に語り継がれ、その言葉は死ぬことはありません。 一方で、その人生を懸命に生きたひとりひとりの言葉も、その言葉に負けることがない輝きを持っています。 それらの言葉の生を引き継いでいくために、記録を残していきたいと思います(毎週月曜日更新)。
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Pt's Voice011:また、次の目標を考えないといけませんね

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家族と過ごせる時間も
それほどもう長くはない
でもいつそれがくるのか
誰にもわからない

だからあなたは
毎月のように予定を入れていましたね

先生
私 次の予定まではもつかなあ

先生
今月は大丈夫でしたね
また次の目標を考えないといけませんね

家族と少しでも
たくさんの思い出を作りたいんです
次の予定はもう無理かもしれないけど
何か未来があるのっていいですよね

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有名人の言葉は時を超え、後世に語り継がれ、その言葉は死ぬことはありません。
一方で、その人生を懸命に生きたひとりひとりの言葉も、その言葉に負けることがない輝きを持っています。
それらの言葉の生を引き継いでいくために、記録を残していきたいと思います(毎週月曜日更新)。

Pt's Voiceでは私の解釈は一切記しません。
患者・家族と私との対話のみです。
その生の声から何を学ぶか?それは皆さん次第です。

10年前恩を贈った女子大生から、時を超えてレターポットが返ってきた話

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まだ20代のころ、医療現場に興味があるという女子大生から連絡をもらった。
医療系大学ではなかったのだが、

「興味があるなら、来れば?」

という軽いノリで答えたところ、その女子大生は本当に友人と2人で川崎に来た。
外来に同席してもらったり、病棟回診についてもらったり、実際に現場を見てもらったところで、

「どうして、私たちのような見ず知らずの人間を受け入れてくれたんですか?」

と聞かれたので、私はちょっと考えて、

「動機もしっかりしていたし、別にいいんじゃない?」

と答えたところ、その子は信じられない、という顔をしていたが私はそれでいいと本気で思っていた。
若い子たちが悩んでいたり、探求心をもってアプローチしてきたんだから、それに対して自分が持ってるもので応えられるなら惜しむ必要はないよね、という。


その後10年くらい、その子から連絡はなかった。
私もそんなことをすっかり忘れていた2017年、急にその子から連絡がきた。
そう「レターポット」で。


レターポットのサービスが始まって最初に手紙をくれたのが、なんとその子だった。
「あのときは、ありがとうございました」
時を超えて贈られたレターポット。
学校の先生とかだとよくあることなのかもしれないけど、教え子が大きくなって学校に会いに来てくれるってこんな感覚なのかな、とほっこり。
さらに、その子は私がいま挑戦中のクラウドファンディングの支援もしてくれた。

当時、別に見返りを求めて病院見学を受け入れたわけじゃない。
クラウドファンディングで恩返しをしてくれた!ということよりも、私は「立派になって…」というのを感じられた喜びの方が大きかった。

レターポットが作り出そうとしている「恩贈りの社会」というのは本当に最高だ。
恩返しを期待するんじゃなく、もっと別のものが返ってくることがあるという面白さ。
だから私はこれからもレタポおじさんとして、見ず知らずの人にレターポットを贈り続けるし、見ず知らずの人をインターンとして医療現場に受け入れていきたいと思う。

というわけで、医療に興味がある高校生・大学生の方は気軽に連絡してきてほしい。
いまも、将来の進路に悩んでいる高校生を「川崎においでよ!」と勧誘している。
泊るところがない、旅費がない、だからできない!なんてことであきらめないでほしい。
一緒に何とかできるよう考えよう。

西智弘のレターポ…

【原著論文】カレーと日本酒の調和性に関する対塩辛スコアを用いた比較研究

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【原著論文】
カレーと日本酒の調和性に関する対塩辛スコアを用いた比較研究
A Comparative Study Using "Tai-Shiokara score” on Harmony between Curry and Sake

西智弘1)、石井麗子1)、武見綾子1)、稲田清人2)、奥村佑子2)

1)一般社団法人プラスケア
2)株式会社サウンドキッチン

【抄録】
カレーと日本酒は、ともに日本を代表する食のひとつといえるが、その調和についてはかねてより多くの議論がなされてきた。これまでの報告は個人的な感覚に基づくものが多く、今回「対塩辛スコア」を用いたカレーと日本酒の調和性に関する比較試験を行ったため報告する。(方法)2018年1月30日に健康な男女25名を調査員として募集し、実際にカレー・日本酒・塩辛を食してもらい、その調和性について数値化して評価した。(結果)調査員23名が参加し調査を行った。全種類の対塩辛スコアは4.5点であった。10件以上の有効回答数があった日本酒に絞った場合、最もスコアが高かったのは「天吹」「天狗舞」であり、スコアが低かったのは「喜多屋」であった。(考察)本研究は、カレーと日本酒の調和性を「対塩辛スコア」を用いて客観的に評価することを試みた初めての研究である。カレーと日本酒の調和性は、塩辛には及ばないものの、評価としては比較的高かった。今後より多くの日本酒との調和性を検証し、その可能性について追求していくべきと考える。


(はじめに)
 カレーと日本酒は、ともに日本を代表する食のひとつといえるが、その調和についてはかねてより多くの議論がなされてきた。
 日本酒を構成する香りや味わいの成分は800種類と、ワインの600種類より多い。そのため、どんな味わいとも調和しやすく、またコハク酸という貝類の旨み成分としてよく知られている有機酸が入っていることも、料理のおいしさを引き立てることの一因と言われている1)。その結果として、日本酒は反発せずさまざまな料理に添って包み込む効果があり、米からできているお酒のために米と合う料理であればカレーも含め何でも合う可能性が高いと言われている1)。またその他にも、「純米系で濃厚な米の味をもつ日本酒」や「重厚で深いボディを持ちかつ柔らかい味わいを持った日本酒」であれば合うという報告も多数みられる2-4)。しかし一方…

カレーと日本酒は合うのか否か?レポート

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1/30に開催された「カレーと日本酒は合うのか否か?」のイベント。
当日は23名の方にお集まりいただきました!
一部、当日用いたプレゼンスライドも交えてレポートします!

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ネット上では、カレーと日本酒のマリアージュについて「合う」という意見と「全然ダメ」という意見とで二分されています。
「本当は、どっちなんだ!」
ということですが、これでさらに私個人が「合う!」とか「合わない!」と言ったところで、既にネット上にあるデータを覆すものにはなりません。

そこで今回、大勢で集まって、実際にカレーを食べ、日本酒を飲み、その疑問を検証するための企画が、この「カレーと日本酒は合うのか否か?」
単なる飲み会?いえいえ、これは厳正たる「研究」です!
日本酒と絶対に合う「塩辛」を基準に「対塩辛スコア」を設定し、皆さんには厳正なる審査をしていただきました。

まずは主催者の私から、イベントの趣旨や研究の面白さについてプレゼン。

そして、実際にカレーと日本酒、そして塩辛で「審査」してみました。
点数のつけ方ですが、塩辛と日本酒のマリアージュを「5点」としたときに、カレーと日本酒では何点か?を評価をするというもの(これが「対塩辛スコア」)。
つまり、「めちゃくちゃ合う」10点、「これはないわ」0点、「ほぼ同じ」5点、という感じです。

ということで、審査スタート!ひとり2~3種類の日本酒を評価します。



あちこちから「合う」「合わねー」という声が聞こえる一方で、段々と酒が進み、やっぱり単なる飲み会?状態にw
それでも最後まで審査用紙を埋めてくださったみなさん。
最終的には、用意したお酒はぜんぶ空っぽ(3升以上用意したのですが…)。
お店に追加注文をしてくださる方もいて、21時半終了の予定だったのが、23時頃まで残って飲んでしゃべってと盛り上がりました。

そして回収した結果を集計したものがこちら!

「やっぱり塩辛の方が日本酒には合うよね!」
という結論に。
「カレーと日本酒は合うよ!」という事前情報が多かっただけに、ちょっと驚きの結果になりました。
でもよくよく考えてみればそれらの事前情報は「~と比べてカレーが合う」というものではなかったので、「塩辛と比べればさすがに合わないけど、カレーもそんなに悪くはないよね」という結果だと考えれば、妥当な…