2012年9月26日水曜日

川崎市立井田病院緩和ケア後期研修医募集!

 
 
 
 
 
川崎市立井田病院総合ケアセンターは研修医を募集しています。
 
川崎市立井田病院総合ケアセンターの主役は研修医が担っています。
患者さんに対するホスピタリティ、がんサロンや在宅ケアなど様々なサービスを維持できるのも、研修医の先生がたのパワーがあってこそ。
私たちスタッフも、その分、研修医の先生方が短い時間で多くのものを学べるよう、研修環境の向上を図っています。
 
当院では、緩和ケア病棟(ホスピス)での緩和ケアに加え、Acute Palliative Care Unit(急性期緩和ケア病棟)の機能を持つ一般床での急性期対応、緩和ケアチームとして他科へのコンサルテーション、在宅緩和ケアなど、緩和ケアについて幅広いフィールドで学ぶことができます。またさらに、がんだけではなく非がんの緩和ケアに関わることもでき、今後は腫瘍内科の研修の機会も作っていく予定です。抗がん剤治療から緩和ケア、そして在宅ケアまで、ひとつの課で幅広く研修できる、つまり、自分が外来で診ていた患者さんを、緊急時には入院させ担当医となり、さらに通院困難になれば在宅に自分で診に行くことができる、こんなことができる施設は全国でもそうそうありません。そのことで、より包括的に患者さん、そして地域を診る目が養われることは間違いないです。
 
研修医が受け持つ症例は、ケアセンター全員でフォローし、毎朝のカンファレンスで問題点を確認します。週に1度のレジデントミーティングでは、診察の様子を撮影するビデオレビューや、研修医が担当するCase of the week・Short Lectureなどで、態度やEBMの手法、プレゼンテーション(教育)の技術も学んでいきます。学会発表や多施設での共同研究、論文の指導も行い、緩和医療専門医として求められる臨床・教育・研究のレベルを達成できるよう支援します。
 
研修期間は3ヶ月~2年くらいの間で自由に設定できます。ただし、研修期間の長さなどによって、契約が若干異なりますので、詳細は病院ホームページ(http://www.city.kawasaki.jp/83byoin/ida/index.html)および以下をご覧ください(申し込み方法なども病院ホームページをご参照頂ければ幸いです)。
 
【1年~2年の通常コース】
将来は緩和ケアを専門に行っていこうと考えている方にお勧めのコースです。もちろん家庭医、外科医、腫瘍内科医など、緩和ケアに深く関わっていく必要のある科の先生方にもお勧めいたします。それぞれの先生方の研修形態の詳細につきましては、病院ホームページに詳しいのでご参照ください。また、個人の希望に応じて研修内容や勤務日などもある程度アレンジが可能ですので、是非見学に起こしいただき、相談頂ければ幸いです。緩和専門医取得には2年以上の研修が必要になります。
【3ヶ月~半年間の短期コース】
他院での研修を主としているが、緩和ケアについては当院のシステムで学んでみたいという方にお勧めです。将来は緩和ケアを専門にしていくわけではないが、緩和ケアを自らある程度実践していく必要がある方、が対象になります。
こちらのコースはホームページにあまり記載が無いので詳細に説明しますが、このコースの場合、当院の規定上、申し訳ありませんが給与の支払いが当院から行うことができません。主として研修を行っている施設から頂くか、当院その他の当直などで給与をまかなっていただくスタイルになります。その代わり1年コースよりも、短期でもより純粋に緩和ケアだけを学びたい、というニーズに適うよう工夫されており、来て頂く価値を提供できるよう努力しています(まずは是非見学に来てください!)。また、より効率的に研修を進められるように、短期コースの先生方には緩和学会の各種ガイドラインやオピオイド換算アプリなどを搭載したiPod touchを優先的に貸与します(4台しかないので早い者勝ちですが…)。1年コースよりも全体に自由度も高いコースですので、是非、皆様のニーズお聞かせ頂き、実りある研修のサポートができればと考えます。
 
現在、1年以上の研修医が6名(ローテート中の研修医も含めて)、3ヶ月の研修医が2名、研修中です。来年度も今年からの引き継ぎも含めて、4名の研修が予定されており、スタッフは3名ですのでとても賑やかで、研修医同士で悩みなどの相談もしやすい環境と言えます。それだけ研修医の先生がいても、当科では病棟に常時50名以上、チームに20名以上、在宅に50名以上の症例があり、それぞれの研修医が10名前後の担当医となるので、症例の取り合いには決してなりません。むしろ、新患が毎日2~3名も紹介されてくる現状では、現在の人数でも不足しているくらいです。
 
私たち、井田病院スタッフは皆様を必要としています。そして、皆様に当院での研修プログラムを体験してほしいと願っています。是非、皆さんも当院で研修してみませんか?
 
 

2012年9月17日月曜日

患者の行き場所が無い現状、いつ解決?


患者の行き場所がなくなる、というケースが後を絶たない。
 
私が、緩和ケアを専門に研修しはじめた頃は、そういうケースが多くあった。
これまでの主治医から見放され、緩和ケアを受けられる病院は見つからず。「がん難民」という言葉が流行ったりもした。
それからもう5年がたち、もちろん全国的には昔より状況は改善してきているのかも知れない。
しかし、少なくとも個人的には実感できるレベルでの状況の改善があるようには思えない。
 
「緩和ケアに関する基本研修(PEACE)」は相当数のドクターが受講し、基本的な緩和ケアは多くのドクターが提供できるように、名目上はなっているはずなのに「自分は緩和ケア専門ではない、抗がん剤治療をしないならうちに定期通院する理由はない、何かあったら来ても良いけど、早く緩和ケアが受けられる病院を探して転院しなさい」と言い放たれ、次回予約なしで終診、である。「治療の適応がないから緩和ケアの病院に行きなさい」と門前払い、というケースもある。
 
 その一方で、緩和ケアを提供する病院に相談すると、「緩和ケアの外来は入院審査の外来だけで2ヶ月待ち、その後も入院まで外来通院はありません」と言われる。つまり、院外から紹介された患者さんを、定期的にフォローするための外来を置いている病院が圧倒的に少ないのだ。外来はあっても、院内にそもそも入院していた患者さんをフォローするための外来のみ、ということだ。
 
「自分は緩和ケア専門ではない」といって診療を拒否する一般科のドクター、そして「緩和ケアの外来は入院審査の外来だけで2ヶ月待ち、その後も入院まで外来通院はありません」という緩和ケア側、双方に問題がある。

「緩和ケアがふさわしい患者には専門的な緩和ケアを受けてもらうのがベスト」という一般科ドクターの言い分はよく分かる。肺の病気なら呼吸器科が診るべきだし、心臓なら循環器科が診るべき、なら、緩和ケアなら緩和ケア医が診るべきだろうし、患者さんにとってもそれが一番幸せなことだ、という理論だ。しかし、緩和ケアは、そもそも「肺の病気」や「心臓の病気」というような臓器別の診療科ではない。そうなると、どこからが緩和ケア科の専門領域と言えるのだろうか。抗がん剤をやらなくなったら緩和ケア科?痛みが出てきたら緩和ケア科?少なくとも、「当科での治療が無くなったから緩和ケア科でも行きなさい」というのは無しじゃないかなと。
 
 一方で、緩和ケア医の言い分。緩和ケア医は、臓器別専門医とその患者数に対して圧倒的に数が足りない。少なくとも、全ての「抗がん剤治療の適応のない」患者さんを受けてしまうと、マンパワー的にパンクするのは間違いない。なので、その外来にも何らかの制限を設けて質を保つ必要がある。しかし、かと言って、本当に緩和ケアが必要な患者さんに対して診療を制限するという姿勢はいかがなものか。そもそも、外来で診てもらいたい、という患者を医療者側で制限して、「診ません」「いずれ診ますよ、そうですね2ヶ月後に」なんて言える科はそうそうない。「いつでも、どこでも、受けたいときに」緩和ケアを受けられるように、というのは数年前の緩和学会総会のテーマだが、いつまでたっても患者さんにとって距離の遠い存在のままだ。早期からの緩和ケアなんて、どこにあるというのか。
 
当院も、昔はそうだった。患者さんの受け入れ制限をかなりしていたところがあった。
しかし、今年から、なるべく多くの患者さんを受け入れるよう、みんなで議論を進めている。
外来枠の工夫やがんサロンの活用なども含め、一応、全てのケースで漏れが無いように対応(必ずしも外来通院でフォローする、という意味ではないが)できそうである。複雑なパターンもあるが、それは相談員や医師で話し合った上で対応をお返事するようにしている。
ただ、そうするとどうしても一人一人にかけられる時間に制約があるため、十分なケアができない部分もある。批判もあるだろう。しかし、今ある痛みをコントロールするとか、通院するところを失って困っているとか、そういうニーズをまず満たす、ということがとりあえずは大切なことで、その選択肢がある、ということが必要なのだと思う。