Pt's Voice016:もう私には全てのものがまぶしい


その方の部屋は、いつでも真っ暗だった
テレビもついていない
音楽も聞こえない
友人はお見舞いに来たがっていたようだが、すべて断っていた

私たちの問いかけに答えることも
時々
ほんの少しだけ

しばらくその方のベッドサイドでじっと座って
その方を見ていたことがある

すると

先生、すまないけどね
あまり私を見つめないでくれませんか
先生は、若くて、エネルギーもある
その強さが、私にはこたえるのですよ
光はまぶしすぎ
音楽はうるさいだけ
もうこの世の全てが、私にとっては強すぎるんです

私は無言で、そのまま目を落とすことしかできなかった

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Pt's Voice=ペイシェンツ・ボイスは「患者の声」をデジタルアーカイブとして遺すプロジェクトです。

有名人の言葉は時を超え、後世に語り継がれ、その言葉は死ぬことはありません。
一方で、その人生を懸命に生きたひとりひとりの言葉も、その言葉に負けることがない輝きを持っています。
それらの言葉の生を引き継いでいくために、記録を残していきたいと思います(毎週月曜日更新)。


Pt's Voiceでは私の解釈は一切記しません。
患者・家族と私との対話のみです。
その生の声から何を学ぶか?それは皆さん次第です。

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