Pt's Voice007:先生と私たち家族の間には、決して埋められない溝がある



先生が一生懸命なのはわかります
感謝もしています
でも先生は、家族じゃない
父の気持ちは私たち家族が一番わかっている
先生と私たち家族の間には
決して埋められない深い溝がある

その「父」は、もう話すことも難しく、余命いくばくもない。
でも家族は、ここからでも回復するという希望を抱いていた。

厳しい話は、しなければならない。
死に向けた準備は、必要だ。
そして、そのために苦痛に満ちた治療を続けられることが本当にその方の望んだことなのだろうか?

私はしばし考えて

よくわかりました。
ご家族のおっしゃる通りですね。
私とご家族の間には、確かに溝があるのかもしれません。
その溝はあるということはあるとしたうえで、それでも一緒に、お父様にとって何が一番いいことなのか、というのを一緒に考えていきませんか?

家族は驚いた様子で、
でも確かに、それはそうですね


「父」は自宅に戻った
先祖代々、最後を迎えた自宅の仏間で、その方は息を引き取った
それは、その方が話せるときに口にした、唯一の希望だった

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Pt's Voice=ペイシェンツ・ボイスは「患者の声」をデジタルアーカイブとして遺すプロジェクトです。

有名人の言葉は時を超え、後世に語り継がれ、その言葉は死ぬことはありません。
一方で、その人生を懸命に生きたひとりひとりの言葉も、その言葉に負けることがない輝きを持っています。
それらの言葉の生を引き継いでいくために、記録を残していきたいと思います。

Pt's Voiceでは私の解釈は一切記しません。
患者・家族と私との対話のみです。
その生の声から何を学ぶか?それは皆さん次第です。

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