新陳代謝する町、元住吉と共にある


 元住吉~井田は移り変わりの大きい町である。
以前に武蔵中原に住んでいた頃はあまり感じなかったが、こちらに移ってからは至る所で壊しては建て、が行われている。武蔵小杉周辺からの再開発の影響もあるのだろうが、町が少しずつ生まれ変わっていく様は、「町が生きている」という感じがして私は好きである。
井田周辺。壊された建物の奥で新しい建物も
上の写真から100mくらい。新築2軒。


その一方で、昔からの旧家、というか地主さんの家などもあり、新旧様々、新陳代謝を繰り返している、といった印象である。
あるひとに聞いた話だが、このように町が少しずつ入れ替わっていくのは、その町が健全な証拠、ということらしい。
つまり、一度に新築がどどーんと建って(ニュータウンみたいなところね)、同じような世代の方々ばかり(特に、新築を買う世代である40代くらい)が入るような町だと、隣近所が皆若いうちはいいが、年を取ると、町全体が年を取るため、インフラが失われるリスクを負うのだと。
その意味では、元住吉は「変わりつつ、変わらない」という好循環をもつ地域と言える。

元住吉は、町自体がひとつのブランドである。
自由が丘や二子玉川といった洗練された感じは足りないものの、町全体の暖かさとパワーは、他のどこにも負けないのではないかとすら思う。
元住吉駅前にある、住吉書房で、こんな本を買ってみたが、
 

特に、『武蔵小杉Walker』は、こんなローカルな本、売れるのか?というくらいの本であるが、それが発行できるのだから、この地域のブランド力、恐るべしである。
内容もかなりマニアックであるものの、面白い。
それを店の一等席で売り出す住吉書房も、町のブランドをよく理解しているなあ、と思う。

町(地域)のブランドを生かす、というのは簡単なようで難しい。
東横沿線、活気ある地域、増え続ける人口、という好条件に乗って、単に店を構えるだけでは、愛されず消えていく。
元住吉のブランドは、町の文化と共にある。
そのあたりは、「町の本屋」が消えていく中で、しっかり愛されている住吉書房はじめ、この地域で長く生き残っている店から学ぶことは多い。

井田病院も、長くこの地域で生きてきているが、これまでは本当に「地域と共に」あったか、と言われると疑問もあるところである。
先日、元住吉で飲んでいたときに、この町で育ったという客に「井田病院?どこでしたっけ?山の上にある病院?」と言われるくらいだし。

元住吉から学び、数々の店から学び、「地域と共に」生きる工夫をもっとしていく必要がある。
病院だからといって、患者さんが来るのをただ待っている時代では無くなってきている。
医療が「地域と共に」ある、というのはどういうことかを本気で考えていかないとならない。

でも、件の『武蔵小杉Walker』に「地元自慢ベスト50」の22位に、当院が載っているのはちょっとした喜びではある。





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