緩和ケア専門医に求められるもの?

先日、緩和ケアの先生方数名と話す機会があったとき、
「これからの緩和ケア医には何が求められるか」
という話になった。

ある先生は
「化学療法による副作用対策も対応しないとならないのか」
と言い、またある先生は
「心不全などの末期状態の管理も任されることがある」
と。
まとめて言えば「終末期に向かおうとしている方の全ての状態に対応できることが求められている」
で、それはつまり「スーパーマン」を求めていると言うことで、理想を追求すればきりがないと言うことだ。

確かに、心不全やCOPDの緩和についても対応したほうが良いこともあるし、
がんに至っては「診断時から」関わることが求められるようになってきている以上、化学療法などの支持療法も、病院によっては受け持たなければならないだろう。
しかし、実際の研修は、それを充足するだけのものにはなっていない。
例えば、当院でも(もちろん緩和学会の認定教育施設であるが)、化学療法の支持療法については緩和ケアチームについて研修しない限り、触れる機会はないし、それは必修とはしていない。
非がんの緩和については当院では学ぶことはできるが、それが困難な施設もあるだろう。
しかし、それも全て「認定教育施設」である。

どのような緩和医を育てていくか、という議論が、現状に追いついていない、ということかもしれない。
それはつまり、緩和ケアの業界も徐々に成熟してきていることの現れなのかもしれないが。
数年前までは、とにかく緩和ケアという概念、緩和ケアを扱える医師を、増やし広めていく、ということが最大のテーマだったと思われるため、それでも良かったのだろうが、
現在では「いつでもどこでも」「早期から」「疾患を問わず」というところが求められ、緩和の専門性は高めつつ、よりジェネラルに対応できる能力も求められているような気がする
もちろん、施設によって「うちは支持療法は腫瘍内科医がやってくれるから」とか、違いはあるだろうが、研修医・若手医師は永遠にその施設で働くわけでもないだろうから、ある程度どの施設に行っても緩和医として働けるような研修を受ける必要がある。
しかし、そのためにはどのような研修体制を整えるべきか、という議論はまだあまりされていないように思う。

そんな事を言っていると、ある先生から
「若手の多くは、まだまだ『口をあけて待っているヒナ』状態なんじゃないの?」
と言われ、それもちょっとショックであった(まあ、自分もそういう節がないわけでもない)。

自分も含め、ヒナ鳥の目を開ける仕事を、これからやっていかないとならない・・・。

コメント

  1. 学会でもEOLを目指すのか早期・支持療法を目指すのか少し議論になりかけたことがありましたが、結局しぼんでしまいました。私は学会としてはどちらか立場を明らかにしたほうがいいと思っています。

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