緩和病棟の在院日数

先日、mixiの方で「緩和ケアを受けたいと思い、緩和病棟に申し込みをしたが『当院は入院できる期間が決まっている』と言われ、療養型へ転院となった」という相談を受け、
「入院期間が決められている緩和病棟なんてないだろう」と思って調べてみると、数は多くないものの、いくつかあるらしい・・・。

そもそも、一般病棟は大体入院3ヶ月経過すると、診療報酬が大幅にカットされ「寝ているだけで赤字」となるので、多くの方は退院や転院を促されますが、
緩和病棟はその縛りがゆるく、それなりの期間入院しても大丈夫なように、制度上なっているはずです。
私が以前勤めていた病棟では、1~2年近く入院していた方も少数ですがいました。

とある緩和ケア医のブログから引用します。
ソースはhttp://blog.livedoor.jp/kotaroworld/archives/51587150.html

>(以下抜粋)
都内にある、有名な某ホスピスは、入院の際に
「当院のホスピスには2週間しか入院出来ません」
という説明を受け、承諾された方しか入院出来ないそうです。もっと長い入院が出来ないのですか?と尋ねると、「他に終生入院出来るホスピスがあります」
と他のホスピスを紹介されてしまうそうです。
困って私達のホスピスを訪れる方が何人かおられました。

良い事か悪い事か、皆さんがどう考えられるかは分かりませんが、多くの方々の理解とは逆に、
ホスピスは最期までずっと入院する施設ではなくなって来ています。即ち、基本は在宅。ホスピスは症状のコントロールを行う施設であって、症状が落ち着けば原則退院、という考え方に変わってきています。
もちろん、まだ長い期間入院出来る施設もありますが
「ホスピスの在院日数を見ればその施設の質が分かる」
と言われる時代です。少しずつ傾向は変わってくるでしょう。
(もともと、欧米のホスピスは平均在院日数は1週間程度ですので、驚くには当たらないのかもしれませんが)

これはある意味仕方ない事かもしれません。
高額医療等の制度があるので、個室料金などを除けば患者さまの負担自体は月数万円になりますが、ホスピスでは実際、1日38000円程度、1人が1年間入院すれば1400万円程度の医療費がかかっています。
これだけの医療費をかけているのですから、当然ホスピスは、よりホスピスケアを必要としている人にベッドを提供すべきではないか、という考えが出て来ます。
がんはあるけれども苦痛はあまりなく、ただADLが低くて在宅介護が難しいという方がずっと入院していて、死が目前に迫り、痛みも呼吸苦も吐き気も緩和出来ていない患者さまが入院出来ない、というのは確かにおかしな話です。

すると、症状が軽くなった方は、重い方にベッドを譲って退院して頂き、状態が悪くなったら、またその時に入院して下さい、無理なら療養型病院に転院して下さい、という事になります。しかし、これではある意味
「次の患者さんがお待ちですから早く退院か転院をして下さい」
という急性期病院とあまり変わらないではないですか。

冒頭で紹介したホスピスは、既にそのような考えを推し進めているのだと思います。しかし、多くの患者さまが困って他のホスピスを訪れているのも確かなので複雑な心境です。
結局、制度が整う前に考えだけ先に行ってしまうので取り残された患者さまは途方に暮れてしまうのです。
介護力がない患者さま、御家族も苦しまれているのですからホスピスに変わる救済方法を考えていかなければいけません。
>(抜粋終了)

良記事です。私も本当にそう思います。
この事実を知ったときは、私はショックでした。
こんな医療者側だけの理論を、患者さんに押しつけていいのか、と。
こんな考えが「正しいこと」として広まったら、とんでもないことです。

担癌患者でも安定していれば診てくれる療養施設は、最近でこそ増えてきましたが、
まだまだ理解が乏しいのが現実ですし、ちょっとした症状の変化には対応しきれない面もあります。
そうすると、在宅に帰ることになるのでしょうが、
ADLの低下した担癌患者さんを、自宅で診るというのは家族にとってはかなりのストレスです。
本人は家の方が気楽かもしれませんが、家族は相当な覚悟をもって臨んでいます。そのために仕事を辞めざるを得なかったりする人も中にはいるわけです。
そのような状況を知ってか知らずか
「ホスピスは症状緩和に特化、安定したらすぐに転院か在宅」
と言ってしまえる神経が信じられません。
しかも、在宅に帰っても、自分たちでは診にもいかないのに!
在宅の現場、その苦悩も知らず、気軽に「在宅を推進」とか言わないで欲しい、と思います。

在宅ホスピスは、患者さん自身にとってはいいことはたくさんある。
入院中はせん妄や疼痛のコントロール難しく、食欲も無かった方が、
家に帰ったとたんにしっかりして、食事も食べ、疼痛も治まる、という例は何例も見てきた。
だからこそ、安心して在宅医療を勧められる環境をまず作り上げることが先決である。
決して、病院の哲学で「在宅へ追い出す」という文化をつくってはならない。

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