2011年1月14日金曜日

偏った価値観

 がん患者さんを中心に診るようになり、様々な施設で研修を積む中でわかったこと。
それは、

がんの患者さんも一様じゃないってこと。

そんなのあたりまえじゃん!
と思われるかもしれないが、
実際にはひとつの施設で診ている患者さんは大きく分ければ皆一緒。
心理的には皆一緒、とも言える。

つまり、患者さん達を大きく分けると
①外科にかかってるひと。癌は切って治ったけど、再発のリスクがあったり、という患者さん。
あとは、
②腫瘍内科にかかっているひと。癌を薬でなんとかコントロールしようと頑張っている患者さん。
③緩和ケア科にかかっているひと。治療がなくなり、紹介されて病棟に入院したり、外来通院を続けている。
そして、
④標準治療はなくなったけど(もしくは拒否)、まだ何か治療は無いか、と民間療法や免疫療法、自費診療のクリニックなどに通う患者さん。

私は①~④全ての施設(科)で研修を受けたことがあるので、上記の全ての患者さんと話したことがあるけど、それぞれの群の患者さん達で、言っていることや価値観は全く違う。
②の患者さんは絶対にホスピスなんて行きたくない!という人が多いし、④の患者さんは化学治療も緩和も基本的には否定的な方が多い。

何が言いたいかというと、
自分が診ている患者さんだけで、全体を判断しちゃいけないな、
ということです。
特に緩和医は、自分のところに紹介されてくる患者さんだけを見て、
それまでの治療や、現在のがん治療の世界に対する批判を述べたりすることがあるが、
自分が診ている患者群も、実際にはかなり選りすぐられた人たちであることを理解した方がいい(これはがん診療に限らずいえることだが)。
実際には、ホスピスに行けず、腫瘍内科や外科が終末期を診ている、その患者さんたちの考え方・気持ちも聞き、その上で今後の緩和医療のあり方を考えるべきと思う。
多くの人たちがホスピスを拒否している、その現実を知るべきである。

自分の診療が、目の前の患者さん達から得られる偏った価値観のみで行われていないか、時々再考する必要がある。

特に、これから緩和医・腫瘍内科医を目指す人は、④の患者さんについては、通常の研修過程ではまず出会うことが無いので、是非一度そういう施設を求めて、見学に行くことをお勧めする。

医師はとかく自分たちの壁の中に閉じこもりがちだが、壁の外にも医療があることを知った方がいい。
それらの施設でやっている治療は、必ずしも正しいとは言えないことも多いが、そこに通っている患者さんの声を聞くことは、大きな意味があると思う。

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