家に帰りたい、とその方は言う。
病状は不安定、家族も心配している。
家に帰って、どうしてもしたいことがあるんでしょうか?
と、私は尋ねる。
いや、別にしたいことがあるっていうんじゃなくて・・・
と、その方はしばし考えて
先生ね、俺はもう長くないんだろう?
だとしたら、このまま病院では死にたくないよ
ここは、俺の居場所じゃない
このまま病院で死んでしまったら、それは旅先で死ぬようなものだよ
俺は、自分の家に帰って死にたい…
そうか、そうですよね…じゃあ、望み通り、家に帰りましょう…
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Pt's Voice=ペイシェンツ・ボイスは「患者の声」をデジタルアーカイブとして遺すプロジェクトです。
有名人の言葉は時を超え、後世に語り継がれ、その言葉は死ぬことはありません。
一方で、その人生を懸命に生きたひとりひとりの言葉も、その言葉に負けることがない輝きを持っています。
それらの言葉の生を引き継いでいくために、記録を残していきたいと思います。
Pt's Voiceでは私の解釈は一切記しません。
患者・家族と私との対話のみです。
その生の声から何を学ぶか?それは皆さん次第です。
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